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公開日:2023.07.13 更新日:2024.05.01モバイル

私用携帯の業務利用が広がる背景やデメリット、おすすめの運用方法を紹介!

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仕事で使用する携帯電話は従来、企業から貸与または支給されることが一般的でした。しかし近年、私用携帯の業務利用を許可する企業が増えています。

従業員が普段から使い慣れている私用携帯の業務利用は、生産性や効率性の向上につながると考えられる一方、セキュリティや通信料の扱いなど様々な問題を抱えています。

本記事では、私用携帯の業務利用が広がっている背景を紹介するとともに、危険性や運用方法を解説します。

  • 【目次】

テレワークによって広がる私用携帯の業務利用

テレワークによって広がる私用携帯の業務利用

私用携帯の業務利用が広がっている理由には、テレワークの普及があります。ここではテレワークが普及した背景と、テレワークの普及によって私用携帯の業務利用が広がった理由を解説します。

テレワークが普及した背景

テレワークの普及が進んだ背景には、大きく2つの要因が考えられます。

一つは、新型コロナウイルスの流行です。総務省の発表によると、1回目の緊急事態宣言(2020年4月7日~5月25日)を機に、民間企業におけるテレワークの実施率は、2020年3月2日~8日の17.6%から5月28日~6月9日には56.4%まで上昇しました。

テレワークの導入は以前より推奨されていましたが、新型コロナウイルスの流行によって導入に踏み切った企業は多く、実施率を引き上げていると考えられます。

出典:令和3年版 情報通信白書|テレワークの実施状況(総務省)

もう一つの要因は、少子高齢化にともなう労働力人口の減少によって働き方改革が推進されているためです。

日本の総人口は、現状のまま推移すると2048年には1億人を割って9,913万人程度となり、2110年には4,286万人程度まで減少する見込みとされ、今後ますます労働現場における人材確保が難しくなることが予想されます。そのため、テレワークを導入することで労働環境における他社との差別化を図ることが可能になり、人材の流出を防ぎつつ新たな人材を確保する効果を期待する企業が増えていると考えられます。

出典:選択する未来 -人口推計から見えてくる未来像--「選択する未来」委員会報告 解説・資料集-(内閣府)

私用携帯の業務利用が広がる理由

私用携帯の業務利用が広がる理由として考えられるのは、上記でも挙げたテレワークの普及です。

テレワークを導入する以前、多くの企業は仕事用の携帯電話を全従業員に貸与する必要がありませんでした。内勤の従業員はオフィスの固定電話を利用すれば十分であり、貸与が必要なのは管理職クラスや営業職など一部の従業員のみだったためです。

しかしテレワーク中の従業員は、当然オフィスの固定電話を使用することができません。そのため内勤の従業員であってもテレワークを実現した場合、携帯電話を利用する必要がありますが、コストの観点から全従業員への貸与が簡単ではない企業も多くあります。

こうした背景から会社貸与の携帯電話ではなく、私用携帯を業務利用する企業が増えていると想定されます。

私用携帯の業務利用(BYOD)のメリット

私用携帯など従業員所有の端末を業務で使用することを「BYOD」といいます。BYODは「Bring Your Own Device」の略で、「自分で持ち込んだデバイスを使う」という意味の情報システム用語です。対象となる端末は携帯電話(スマートフォン)のほか、パソコンやタブレットも含まれます。

BYODの導入には様々なメリットがあり、まず複数の携帯電話を持ち歩くわずらわしさから解放されることが挙げられます。私用携帯を業務で利用できれば、会社が貸与した携帯電話と私用携帯の両方を持ち歩く必要がありません。

また、使い慣れた端末で仕事ができ、操作を初めから覚える必要がない点も従業員にとってメリットといえるでしょう。

一方、企業側にとってのBYODのメリットは、端末購入や基本利用料金の支払いがなくなるため、費用を削減できる点が挙げられます。また端末の管理表の更新や管理シールの作成といった様々な管理作業や故障時の対応、端末を保管する倉庫の確保なども不要です。

そのためBYODは従業員にとっても企業側にとってもメリットの多い取り組みといえます。

私用携帯の業務利用にともなう危険性

私用携帯の業務利用にともなう危険性

BYODの導入にはメリットがある反面、情報漏洩やプライバシー保護の観点からセキュリティリスクといった危険性も考えられます。本項ではBYODの導入におけるデメリットの部分を紹介します。

セキュリティの問題

携帯電話は、アプリの利用やインターネットへのアクセスによってウイルスやマルウェアの攻撃にさらされるリスクがあります。

しかし私用携帯ではセキュリティに対する意識が低くなりがちであるため、これらの攻撃にさらされるリスクが高くなると考えたほうがよいでしょう。また私用携帯の場合、安全に使用するために必要な定期的なOSのアップデートが行われるとは限らない点も問題です。

そのため私用携帯の業務利用を実施する場合、セキュリティ対策を正しく行わなければ企業の重要情報の漏洩リスクと常に隣り合わせになる可能性があります。

個人情報の漏洩

業務で私用携帯を利用する際には、関係者の連絡先など業務で取り扱う個人情報を保存することもあります。しかし携帯電話は日常的に紛失や盗難のおそれがあり、悪意を持った第三者によって情報が盗み出される危険性も否定できません。

従業員が私用携帯を紛失して個人情報が漏洩した場合、企業側は個人情報保護法における「20条 安全管理措置の義務違反」および「21条 従業者の監督義務違反」を問われる可能性があります。

時間外労働の増加

BYODを導入すると、時間や場所を問わず仕事ができるようになります。しかしこの状態は、逆をいえば「業務時間外であっても仕事ができる」ということでもあります。業務時間とプライベートの時間の境が曖昧になり、結果として時間外労働の増加につながるおそれがあります。企業側も従業員の勤務実態の把握や管理が難しいのが実情です。

通信料の負担

BYODを導入する場合、誰が通信料を負担するのかといったルールを作る必要があります。私用携帯で業務を行った際、プライベートと業務の通信料を分けて算出することは困難です。そのため一定額を企業が負担するといったルールを設けているところもあります。

シャドーITの危険性

シャドーITとは、企業が許可していない端末やクラウドサービスを従業員が無断で業務に使用することです。

BYODによって私用携帯の業務利用を認める場合、セキュリティに対する意識が低い従業員が業務利用を認めていないサービスを利用することでシャドーITが起こるかもしれません。

例えば私用携帯には、業務利用を認めていないクラウドサービスがインストールされているケースは多くあり、これらをつい業務で利用してしまうことでセキュリティリスクが高まる可能性もあります。

シャドーITが起こることで情報漏洩やアカウントの乗っ取り、不正アクセスによるサイバー攻撃など企業の情報セキュリティを脅かすリスクが増大します。

BYODを導入する場合は、シャドーITが起こらないように社内システムにアクセスできる端末やアカウントを厳しく制限するなど対策したうえで適切な運用をする必要があります。

法人携帯貸与・BYODのおすすめの運用

全従業員に法人携帯を貸与するには多くの費用が必要です。またBYODを導入する場合セキュリティリスクが増加する問題もあります。そこでおすすめなのが、業務内容や役職に合わせてBYODを導入する従業員と、法人携帯を貸与する従業員で分ける方法です。

業務内容や役職によってどちらが適しているかは異なりますが、基本的には次のように分けることができます。

  • 私用携帯(BYOD):テレワークを行うことがある内勤者
  • 法人携帯:外出が多い営業職や現場作業員

BYODが適しているのは、テレワークを行う機会がある内勤者などです。内勤者はオフィスに出勤している時であれば、内線や口頭、PC上のチャットツール等でやりとりを行うことが多く、携帯電話の使用機会は少ない傾向があります。テレワーク時にのみ携帯電話を使うのであれば、コストが掛かる法人携帯よりもBYODが適しています。

一方、法人携帯の貸与が適しているのは、外出が多い営業職や現場の作業員です。これらの従業員は、外出時に連絡を取る機会が多く、携帯電話が欠かせません。携帯電話の利用頻度を考えれば、法人携帯を貸与したほうがセキュリティ面のリスクを抑えやすいといえます。

このようにBYODと法人携帯の貸与を使い分ければ、コストやセキュリティリスクを抑えつつ企業内での携帯電話の運用がしやすくなります。業務内容やテレワークの頻度なども考慮しながら、運用方法を検討してみてください。

なお、法人携帯を従業員に貸与する際は、楽天モバイルの提供する法人向け携帯キャリアサービス「楽天モバイル法人プラン」がおすすめです。

音声+データプランでは月額1,980円(税込2,178円)から利用できるため、コストを抑える目的でも利用しやすいプランとなっています。また、Rakuten Link Officeアプリを利用した国内通話はかけ放題※1※2です。

月々使えるデータ通信量に関しても「3GB」「5GB」「30GB」「無制限」の4つのプランが用意されており、用途に合わせて選択することができる点も魅力です。

なお、法人携帯の必要性やメリット・デメリットに関しては、以下の記事で詳しく説明しているので併せて参考にしてください。

関連記事:社用携帯電話は必要?メリット・デメリットや導入時のルールを紹介 | Biz Magazine

※1 (0180)(0570)などから始まる他社接続サービス、一部特番(188)への通話については、無料通話の対象外です。
※2 Rakuten Link Officeアプリ未使用時、国内通話は30秒22円(税込)となります。

私用携帯の業務利用(BYOD)対策

私用携帯の業務利用(BYOD)対策

私用携帯の業務利用(BYOD)を運用する際は、セキュリティリスクを極力減らすことが重要です。以下ではセキュリティ対策のポイントを紹介します。

運用ルールを立てる

BYODには法律上の規制が存在しないため、企業が運用ルールを策定する必要があります。まず社内ガイドラインとして、自社が取り扱うデータのうち「保護すべき情報の範囲」を定義することが重要です。具体的には、業務で取り扱う個人情報、機密情報、技術情報などが該当します。またこれらの情報が漏洩した場合の損失などについても明示しましょう。

BYODで行える業務の範囲、使用可能なアプリおよびアプリの用途、社内システムへのアクセス権限の有無、ルール違反をした従業員への罰則などについてもルールを定めます。運用ルールは定期的に見直し、不都合がある場合は修正してください。

ただしルールは策定して終わりではなく、従業員に周知し社内文化として浸透させることが大切です。ルールの策定・周知と並行して従業員のセキュリティ意識を向上させるために、社内研修やワークショップなどのITリテラシー教育を継続的に実施することも欠かせません。

MDMを利用する

MDMとは「Mobile Device Management(モバイルデバイス管理)」の略で、モバイル端末の設定や管理を一括で行えるシステムです。

MDMには、複数端末の一元管理やアプリの一括管理など、様々な端末管理機能が備わっています。ネットワークの設定やOS・アプリのアップデート、必要なコンテンツの配布などをまとめて行えるため、システム担当者の負担軽減も期待できます。

またMDMでは端末の遠隔(リモート)操作も可能です。例えば私用携帯の紛失や盗難、不正アクセスなどが発生した際には、端末のロック(リモートロック)、端末内のデータ消去および設定初期化(リモートワイプ)などの対応により、情報漏洩のリスクを軽減できます。

さらにMDMではすべての端末に指定した設定を一括で反映することができるため、企業が定めたセキュリティポリシーに準拠した管理・運用が可能です。

モバイルチョイス“050”やモバイルチョイス・アップゲートを活用する

モバイルチョイス“050”

私用携帯を安心して業務に利用したい場合は、楽天コミュニケーションズが提供している「モバイルチョイス“050”」の活用もご検討ください。

モバイルチョイス“050”は、私用携帯にビジネス専用の050番号を付与することで、1つの携帯電話端末でビジネスとプライベートの使い分けを可能にします。050番号の通話料のみを会社請求とすることができるため、従業員が業務に使用した分の通信料を自分で負担したり、個々に清算する必要がなくなります

モバイルチョイス“050”は、ベーシックプランであれば初期費用500円/番号・月額基本料100円/番号で始められます。さらに、インターネット回線ではなく音声回線を使用するため、高い音声品質を実現しています

従業員にとっても業務で利用した通話料が自動清算されるうえに、プライベートの電話番号を仕事で使わなくて済む安心感があるでしょう。

モバイルチョイス“050”は、フィーチャーフォン(ガラケー)も含め、すべての携帯電話会社の端末で利用可能です。私用携帯にアプリを入れるだけで利用できるため、急なテレワークの実施にも対応しやすいでしょう。また1番号から契約でき、契約期間の縛りもありません。利便性の高さから、現在では官公庁や自治体でも導入が進んでいます

さらに高いセキュリティを求めるのであれば、レコモット社が提供する「moconavi(モコナビ)」がおすすめです。

moconavi」では、私用携帯にアプリをインストールして社内システムと連携することで、メールチェックやファイルサーバーへのアクセスなど業務に必要な情報に快適にアクセスできるようになります。

端末にはデータが残らない仕組みとなっており、万が一私用携帯を紛失した場合も情報漏洩のリスクが低いのも特徴です。

システム構築や高度な端末設定は不要で手軽に始められるうえ、私用携帯さえあれば場所を選ばずに仕事ができるため、テレワークなどの多様な働き方に対応できます。外出先や営業先で社内サーバーに保存された資料が必要になった場合などにも便利です。

まとめ

テレワークをはじめとする働き方改革の推奨により、私用電話の業務利用(BYOD)も広がりをみせています。業務の効率化や生産性の向上、コストカットなどのメリットがある一方で、情報漏洩やサイバー攻撃などのセキュリティリスクも高まります。

企業がBYODを導入する際にはあらかじめ運用ルールを策定し、社内ガイドラインを規定することが重要です。MDMなど端末を一元管理するツールの活用も選択肢の一つです。

楽天モバイルでは、法人向けの携帯キャリアサービスとして「楽天モバイル法人プラン」を提供しています。また、私用携帯の業務利用(BYOD)の導入を検討されている場合には、楽天コミュニケーションズが提供する「モバイルチョイス“050”」の活用がおすすめです。私用携帯に050番号を付与できるため、公私分計が可能で従業員も安心して使えます。

携帯の法人契約やBYODの導入を検討中の方は、ぜひお問い合わせください。

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