コネクト・ストーム
コンタクトセンター市場というブルーオーシャン
BtoC、BtoB問わず、企業にとって外部と電話による一次対応を行うコールセンターは、もはや必須の存在になっている。お客様相談窓口や電話注文などのインバウンドや、プロモーションやリサーチのためのアウトバウンドなど、設置目的も多彩だ。さらに、現在では電話に加えてメール、チャット、Web、SNS、さらには映像通話など、様々なメディアによる対応が出現しており、コンタクトセンターと称するケースが増えてきた。また、人を介さないAIを活用したチャットボットやIVRの実装も進み出した。そうした新たなコミュニケーションテクノロジーに必要なシステム・設備の導入を支援するプロバイダーや、ベースとなるプロダクトを提供するメーカーは、今後さらに成長が期待される有望マーケットに臨んでいると言える。
楽天コミュニケーションズも2010年代初期から、楽天グループはじめ数多くの企業のコールセンター構築をサポートしてきた実績を持つ。しかし、内部では大きな課題を抱えていた。
Project 01
メンバー
Project Member
Michael
エンジニア
2008年 中途入社
コネクト・ストームのサービスローンチにあたり、ネットワークの設計および音声キャリア網との接続を担った。通信エンジニアとしてコネクト・ストームを担当するようになり、新たにITの広範囲なスキルを身につける機会を得る。
Makoto
統括責任者
2018年 中途入社
外資系企業から転職。入社早々3つのプロジェクトを統括することになり、そのうちの一つがコネクト・ストームだった。以来、楽天グループ各社とコラボレートできる楽天コミュニケーションズのアドバンテージを活かした戦略を遂行する。
Daisuke
営業部長
2017年 中途入社
大手SIerから転職。コンタクトセンターソリューションビジネスの営業責任者。現在はエンタープライズ市場を念頭に、AI連携や声紋認証、音声テキスト化など、付加価値を高める幅広い新ソリューションの導入検討を進めている。
Bayyan
営業
2012年 入社
コンタクトセンター市場で経験豊富な営業担当。現在は主に外販営業に従事。コネクト・ストームは提案できる幅が広く、奥が深く、ITリテラシーや顧客理解において高いレベルを求めることから、営業力を鍛えるプロダクトだと言う。
Riny
エンジニア
2019年 中途入社
コネクト・ストーム導入において構築業務を担当。英語コミュニケーションスキルを活かし、Content Guru社と連携を取りながら、プロジェクトメンバーとして携わる。本プロジェクト以外にも、海外ベンダーとの開発案件を担当。
Episode.01
有望市場を前に足止めを余儀なくされる
楽天コミュニケーションズは、2012年からコールセンター向けの商材として、コネクト2.0と名付けられたクラウド型コールセンター/CTI(コンピュータと電話系装置を統合したシステム)システムを市場展開していた。クラウドベースの特長を最大限に活かして、導入コストや導入までの期間を大幅に抑えることができ、信頼性の高いコールセンターを構築できるサービスとして導入社数も順調に伸ばすことができた。ところがマーケティングの現場では、当初から大きな課題を抱えていたのである。当時の様子を、コネクト2.0の販売を担っていたBayyanは次のように語る。
「コネクト2.0はクラウドベースのインバウンド型コールセンターシステムとしてはとても優秀で、顧客満足度も高く、1000社以上のお客様に導入実績があります。しかし、コネクト2.0がカバーするオペレータ数は数百シートまで。1,000シートを超える大規模コールセンターには対応が難しかったのです。それに、WebやSNS、ビデオ通話といったオムニチャネル対応のできるコンタクトセンター向けシステムのニーズも高まってきました。営業の立場で言えば、大手コンタクトセンターにアプローチできない、次のニーズにも応えられないことに、悔しさを感じていたのです」
Episode.02
通信キャリアとして譲れなかったもの
そこで楽天コミュニケーションズは2017年初頭に、大規模シート数に対応が可能で、様々なチャネルに対応できるサービスの開発を目指すことになった。リサーチを重ねた末に最終的に選ばれたのは、英国Content Guru社の“ストーム”。今回の件でプロジェクトマネージャーを務めたMichaelが、その理由を語ってくれた。
「スペックには現れない操作感や使い勝手、見た目の魅力といった非機能要件において、ストームはダントツに優れていたのです」
英国で金融や通信の各社に導入実績を持つことも信頼性の面で大きくプラスに働いた。クラウドベースにも関わらず、導入企業ごとの個別ニーズにもカスタマイゼーションで対応するという柔軟さも楽天の方針に合致していた。それにもう一つ、楽天コミュニケーションズが最も譲れない“こだわり”を、Content Guru社の“ストーム”ならば満たしてくれると感じさせた。当事業の統括責任者であるMakotoは言う。
「我々には通信キャリアとしての自負があります。ですから、音声は決して途切れないという信頼と品質を最も重視しているのです。ストームにはそれを一番に求めました。そしてメーカーであるContent Guru社はそこに大きく共鳴してくれたのです」
Makotoが語ったのは、Content Guru社のCEO、CTO、COOの主要ボードメンバーが来日し、東京の楽天本社で可用性に関する仕様検討を行った時のことである。様々な要件について話がまとまる度に、CEO自らが英国の開発陣に電話をかけ、決まった内容をすぐに実装しろと指示を出した。CEO自身が責任を持って開発を采配し、成功を導き出そうとしたのである。そうしたスピード感も楽天コミュニケーションズ側の琴線に触れたのだった。また、Content Guru社側も、楽天コミュニケーションズの通信キャリアとしてのスケールや技術力の高さに敬意を示したようだった。
Episode.03
AI実装を控え、1万シート販売も視野に
もちろんすべてが順風満帆だった訳ではない。プロダクトしての信頼性、機能の豊富さ、そしてルック&フィールの良さは確認済だったが、それを日本の通信環境や仕様環境にフィットさせる工程は難航していたのである。ネットワークの設計と楽天コミュニケーションズの音声キャリア網設備との接続を担ったMichaelは当時の苦労を今も思い出すと言う。
「インターフェイスやプロトコルについてのルール…つまり繋ぎ方が英国とは異なっていて、そのギャップを埋めるために、向こうのエンジニアに東京の検証ラボに来てもらい、何日も接続試験と討議を重ねました。帰国後も連日テレビ会議やデータのやり取りに追われました」
表示されるテキストの日本語化にも苦労したようだ。ストームが、「痒いところに手の届くインターフェイス」だっただけに、直訳では伝えられないデリケートな表現が求められたからである。
こうして日英両メンバーの尽力で、2018年の6月にContent Guru社の“ストーム”は、楽天コミュニケーションズの「コネクト・ストーム」としてローンチの日を迎えた。初年度に予定していた
初年度に予定していた、1,500シートはすべて売り切り、今年度は数千シートの獲得。2,3年後には、10,000シートの目標もクリアしそうということである。
営業責任者であるDaisukeは、すでに次の一手に着手していると語る。
「エンタープライズ向けのクラウド型コンタクトセンターシステムで、業界トップレベルのポジションに踊り出た当社ですが、AI連携などで実現する新サービスをコンタクトセンター市場に提案していこうと準備しています。コネクト・ストームの躍進は、始まったばかりなのです」