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ITmediaビジネスオンライン

掲載日2019年10月02日

「仕事のせいで私のギガが減る!」
そんな社員の不満を解決するサービスとは?

働き方改革でテレワークを導入する企業も増えてきたが、時間や場所に縛られない働き方の実現には、スマートフォンやタブレットといったスマートデバイスが欠かせない。しかし、そうしたデバイスの調達は企業の負担も大きく、一部の従業員への支給にとどまっているケースも多い。

そこで注目を集めているのが、「BYOD(Bring Your Own Device)」――従業員の私物のデバイスを業務で活用するという方法だ。日本ではセキュリティ上の懸念からあまり浸透していなかったが、スマートデバイスのニーズが急激に高まったことで、再びスポットライトを浴びるようになった。

そんなBYODを安全かつ効率的に実現するため、楽天コミュニケーションズが提供しているのが、音声サービス「モバイルチョイス050」だ。これを使うと、1台のスマートフォンやフィーチャーフォンで行われた音声通話の料金を、プライベート用と業務用に分けて管理・請求できるようになる。業務用の通話は専用アプリから行え、通常の電話料金とは別に、自動で会社に請求可能だ。

楽天コミュニケーションズが提供する「モバイルチョイス050」
楽天コミュニケーションズが提供する「モバイルチョイス050」

同社の金子昌義氏(取締役 副社長執行役員)は「BYODのニーズが高まってきたのは、自然なことでした」と話す。「iPhoneやAndroidスマートフォンが発売され、急速に普及すると、企業も管理・監視されたスマートフォンを支給するようになりました。しかし、2台持ちはかさばるし、使い分けも面倒なので、『1台でプライベートと仕事の両方をまかなえないか』というニーズが出てきました」(金子氏)

楽天コミュニケーションズ 取締役 副社長執行役員 金子昌義氏
楽天コミュニケーションズ 取締役 副社長執行役員 金子昌義氏

しかし、BYODの課題となっているのは音声通話だけではなかった。従業員が会社の許可を得ずに、私物のスマートフォンで個人向けのチャットアプリなどを業務に使うケースも増え始めていた。

こうした「シャドーIT」を黙認していると、従業員は使い慣れたツールで効率的に仕事ができる半面、企業は管理下にないツールやアプリケーションから個人情報や企業情報が漏えいするリスクがある。これを抑制するためにも、私物のスマートフォンを安全かつ効率的に業務利用できる環境を提供するサービスが求められていたという。

安全なBYODの実現には、何が必要なのか

また、会社支給の端末であっても、情報漏えいについては大きな懸念があった。使用している端末が紛失や盗難にあった場合、遠隔操作で端末に保存されているデータを削除することになるが、その成功率は極めて低く、「端末にデータが残る危険」が常につきまとう。個人の端末を業務でも使えるようにするBYODであればなおさら、そのリスクを回避するサービスが必要だった。

そこで、新たに登場したのが「モバイルチョイス・アップゲート」だ。音声サービスの「モバイルチョイス050」と、リモートアクセスツールで知られるレコモットが独自開発したセキュアなMAM(モバイルアプリケーション管理)サービスを融合させたもので、導入すると、私物のスマートフォンでも端末上に業務データを一切残すことなく、BYODで利用できるようになる。

業務に必要な機能は全て1つの専用アプリケーションにまとまっているため、スマホを“仕事モード”にしたくなったら、アプリを立ち上げるだけでいい。アプリ内では、Office 365やSalesforce.com、Box、Sansanといったビジネスアプリケーションや、メール、カレンダー、チャットといった機能が使える他、セキュアブラウザも用意されているため、一般的なWebアプリケーションも一通り利用できる。

「モバイルチョイス・アップゲート」の仕組み
「モバイルチョイス・アップゲート」の仕組み

レコモットの代表取締役 CEO 東郷剛氏によれば、BYODでは端末にデータを残さないことが最も安全だという。

レコモット 代表取締役CEO 東郷剛氏
レコモット 代表取締役CEO 東郷剛氏

「専用アプリケーションは、端末上に一切データを残しません。アプリケーションを閉じたり、一定時間操作が行われなかったりした場合には、自動的にキャッシュデータも消去しますから、たとえ端末が盗難や紛失に遭っても、情報が漏えいする心配は一切ありません」(東郷氏)

業務用のアドレス帳データもクラウド上で管理されるため、端末上には一切保管されないという。ではどうやって「誰からの着信か」を判別しているかというと、クラウド上で管理しているアドレス上の情報と、発信者が通知してきた電話番号を照合して発信者の情報を識別し、スマホにプッシュ通知で知らせるという。これにより、個人情報の漏えいを心配することなく、私用のスマホで電話をかけることができるようになった。

個人が負担する“パケット負担”問題にはどう対応?

このように高いレベルのセキュリティ対策と利便性を両立させたモバイルチョイス・アップゲートだったが、ビジネスとプライベートの通話料金を自動で分けられるモバイルチョイス050のように、パケット料金を公私分計して管理することはできなかった。

しかし、東郷氏はBYODを推進する上では、この公私分計の仕組みが極めて重要な要素になるという。「シャドーITを抑制し、従業員にセキュリティのリスクを負わせることなくBYODを普及させるには、仕事で利用した分の料金を可視化し、適切な手当を支給することが不可欠です。プライベートと業務用の通話料金やパケット料金をしっかりと区別することは、企業にとっても、端末調達コストやランニングコストの抑制といったコスト削減にもつながります」(東郷氏)

金子氏も「最近は音声通話だけでなく、チャットなどによるコミュニケーションも増えてきました。また業務用のPCやタブレットをネットワークにつなぐために、スマートフォンのテザリングを使うケースも多くなり、業務で使われるパケット通信量は徐々に増えてきています。BYODの場合、これが従業員の私物スマートフォンの“ギガ”を圧迫するため、『コストを会社側で、きちんと負担してほしい』という要望が強くなっていました」と話す。

こうした背景を受けて開発されたのが、新機能の「パケット測定機能」だ。BYODで使用しているスマートフォンのパケット通信量のうち、業務専用アプリケーションで消費したパケット量と、それ以外で使われたパケット量を明確に分け、可視化できるようにするもので、企業側は「当月に誰がどれだけのパケット通信量を仕事のために使ったか」を正確に把握し、その結果に基づいた適切な額の経費を従業員に支給できるようになる。

東郷氏は「通信量を正確に可視化することで、初めて明確な根拠に基づいて支給額を決められるようになりました。これまでの『パケット料金の個人負担』『どんぶり勘定で支給額を決定』といった状態に比べれば格段の進歩であり、BYOD本格普及への重要な地ならしになると考えています」と話す。

ただし、パケット料金は契約プランによって算出方法が異なるため、従業員が契約しているパケットプランも考慮して、それぞれ支給金額を決める必要がある。モバイルチョイス・アップゲートでは、そうした点も踏まえ、各企業が自社のポリシーに従って料金を算出できる仕組みも実装しているという。

サービス拡充でBYODの普及を後押し

今回の新機能でモバイルチョイス・アップゲートの導入はさらに拡大することが予想されるが、楽天コミュニケーションズとレコモットはそれに甘んじることなく、今後もサービス内容をさらにブラッシュアップしていく考えだ。

金子氏は、企業に自動で請求が届く音声通話料金と、多くの場合「手当」などの形で後から支給されるパケット通信料金の請求を楽天コミュニケーションズで一本化したいと考えているという。


「請求を一本化することで、お客さまにさらに高い利便性を提供できるのではないかと思います。また、米国の企業また米国の企業では、会社が費用を負担して従業員が好きなデバイスを購入・利用できるスタイルが増えてきています。いずれ日本でもこうしたデバイス利用のスタイルが普及するでしょうから、それに備えてモバイルチョイス・アップゲートもなるべく多くのデバイスで利用できるよう、連携サービスだけではなく対応端末も拡大していきたいと考えています」(金子氏)

また東郷氏は、楽天が今後モバイルキャリア事業に本格参入することを踏まえ、「楽天コミュニケーションズとの協業を通じて、日本企業のコミュニケーションスタイルの在り方を大きく変革していきたい」と意気込みを語る。

「楽天グループは、楽天コミュニケーションズのモバイルチョイス・アップゲートのようなBYODサービスと、楽天モバイルの法人契約による会社支給のスマートデバイスの両方を提供できるため、日本におけるBYOD普及のキープレイヤーになるのではないかと期待しています。加えて、音声品質の優れたモバイルチョイス“050”を拡大することで、日本企業に根強く残る固定電話の文化を改革し、電話番号が座席ではなく個人にひも付いた、新しいコミュニケーション形態を根付かせるきっかけにもなるのではないでしょうか。そうした意欲的な取り組みも、両社で進めていけたらと考えています」(東郷氏)

(ITmediaビジネスオンライン掲載)



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