社内外の会議に参加したときに、「何が話し合われているのかがよく分からない」「率直な意見を発言しにくい」「結論がまとまらない」といった不満を感じることはないでしょうか。会議の進め方がうまくいっていないことが、この原因となっていることが多いようです。このような状況を打開して、参加者の意見や本音を引き出し、改善や成果に結びつけるための技法として、“ファシリテーション(=議論の舵取り)”が注目されています。
【目次】
1.会議の進行に気を配り参加者を導くファシリテーター
2.ファシリテーション技法の種類を確認しよう
3.ファシリテーション技法を活用するポイント
4.ファシリテーション技法により会議を成功させるには
1.会議の進行に気を配り参加者を導くファシリテーター
会議の進行役は、知識や経験のあるリーダーが務めることが多いと思います。ただ、そのような人達でも参加者の率直な意見を引き出し、議論への参加を促すのは難しいものです。ファシリテーターは、会議の進行に気を配りながら参加者を導く重要な役割を担います。
2.ファシリテーション技法の種類を確認しよう
雰囲気づくりのためのファシリテーション
- ・会議の場のレイアウト
- まずは、参加者が話しやすく感じる席配置になるよう工夫しましょう。参加者同士の意思疎通を重視する場合は、教室型よりも円形やロの字型のほうが対話しやすくなります。
- ・参加者の意識レベルの違いへの配慮
- 議題に対する参加者の認識がどの程度なのか予想できない場合でも、何気ない発言から理解の度合いを推測し、基本事項を補足すると会議をよりスムーズに進行することができます。参加者の意識レベルを確認するための質問や5分ぐらいのプレゼンを用意するなど、TPOに応じて工夫しましょう。
ロジックの観点に着眼したファシリテーション技法
- ・事実、意見、根拠の違いを踏まえた会議進行
- 会議を進める場合は、まず事実と意見を区別して把握することが重要です。ひと口に意見といっても、事実に基づいた根拠があるものと、漠然とした気持ちの表明とでは、当然ながら意味合いや重みが違います。それを踏まえて、議論を整理するといいでしょう。あやふやな現状認識で曖昧な議論が続いている場合は、そこでしっかりと事実の確認をすることも大切です。
- ・議論の整理、拡散、収束
- まず、議題の核心となる部分について意見の相違があった場合は、背景やお互いにどう感じているかといった観点で議論を整理する必要があります。そして、議題に関して共通認識が得られたあとには、ブレインストーミングに近い形で、具体的な事例や率直な意見をできるだけ多く引き出す議論の拡散の段階に移ります。最後に当初の趣旨に立ち返り、全参加者の賛同を得ながらまとめることで議論を収束させます。ただし、共通認識が得られない場合は、無理にまとめずに意見の相違の背景を示しながら整理して、次回につなげることが必要な場合もあります。
- ・MECE(ミーシーもしくはミッシー)
- 漏れや重複なく、全体を網羅するMECE(Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive=「完全な全体集合」という意味)の考え方も、議論の無駄を省いて会議を実り多いものにするために有効です。実際の会議の場で階層図のようなものをホワイトボード上でまとめ上げる方法も有効ですが、事前にメモのレベルで論点を整理しておくことをおすすめします。その際は、マーケティングの分野で使われているSWOT分析といった定番のフレームワークを活用すると有益かもしれません。このように準備をしておけば、議論が混沌としてきたときに何が話し合われていて、何が抜けているのかといったことをチェックするのに役立つでしょう。
論点を共有し、結論に導くためのファシリテーション技法
- ・視覚ツールの活用
- 口頭での話し合いだけでは、議論が堂々巡りしてしまうことがよくあります。ホワイトボードやプロジェクターといった、視覚ツールで議論を整理しながら進めると出席者の意見を引き出しやすくなり、議論を発展させて賛同を得ながら結論に導きやすくなります。
3.ファシリテーション技法を活用するポイント
ファシリテーション技法の活用に関しては、どのような場面でどの技法を用いるのかが重要です。まず、話しやすい雰囲気づくり、メンバー間の認識のギャップを埋めることから始めて、話題や論点の共有、議論の拡散・収束など、会議の流れや時間を意識しながら使い分けてください。
経験が浅い人が会議の司会やファシリテーターをする場合、参加者の発言内容を十分に理解できないケースがあるかもしれません。そのようなときは発言者に具体的に内容を確認し、経験者に意見や解説を求めながら進行するといいでしょう。場合によっては次回の議題として、それまでに情報を収集しておくといったように、臨機応変に対処してください。
4.ファシリテーション技法により会議を成功させるには
充実した実りのある会議を実現するにはファシリテーション技法が有効ですが、状況に応じて手法を適切に使い分けることが、成否を左右するのではないでしょうか。Web会議等を使ってリモートで会議を行う際も、これらのことを心得ておくと、生産性は格段に向上するはずです。