トップ > 働き方改革を成功に導く次世代Web会議のススメ > テレワーク普及への道 海外と日本のテレワーク事情
テレワークが政府主導で推進されていますが、労務管理や情報漏えい問題の不安などからなかなか導入に踏み切れない企業が多いようです。また、テレワークを在宅勤務と同義と捉えて抵抗を感じる会社員もいるようですが、テレワークとは自宅で仕事をすることだけではありません。そこで今回は、テレワークという言葉の意味や、欧米と比較した日本の普及状況、今後の方向性を探ります。
1.テレワークの種類とメリット
2.海外のテレワーク事情
3.日本のテレワーク事情
4.テレワークは部分的に導入できる
テレワークとは、自宅で働くことだけを指すわけではありません。働く場所によって、以下の3つに分けられます。
雇用形態別では、正社員として働く従業員のテレワークと、フリーランスのテレワークがあります。また、毎日ではなく週に何回か、もしくは半日のみという形態もテレワークに含まれます。
少子高齢化に伴う労働人口の減少が進行するなか、日本がこれまでのような経済発展を維持するためには、労働力の確保が必要です。そこで、地方の活性化による雇用の創出や、女性が働きやすい環境の構築、高齢者の労働力の活用手段として、テレワークが推進されています。また、通勤する人を減らすことで、CO2排出削減といった効果も期待されています。
企業側から見たテレワークのメリットとしては、働きやすさによる生産性向上や、BCP対策、オフィス維持費などのコストの削減が挙げられます。
労働者のメリットは、育児と仕事を両立しやすい環境の実現、ワーク・ライフ・バランスが向上することで家族と過ごす時間や自己啓発の時間がとれるようになるといったことがあるでしょう。
米国ではテレワークが進んでおり、2001年にはすでにテレワーク率が20%を超えていました。テレワークは米国の西海岸が発祥とされ、西海岸に多い地震に対するリスク分散や、母子・父子家庭の増加による労働者の生産性への影響から、企業の競争力強化という視点でテレワークが進んできたと考えられます。その一方で、2017年5月には米IBMが在宅勤務制度を廃止して話題になりました。必ずしも生産性向上にはつながらないことや、チームワークによる競争力向上が認識され、完全在宅勤務は見直されつつありますが、部分的なテレワークの導入は増え続けています。
2017年のユーロファウンドとILOの調査報告書によれば、欧州ではスウェーデンの自宅型のテレワーカーが全労働者の32%と高くなっていますが、テレワークに適した職業が40%に達しているドイツでは週に1日以上のテレワークは12%とそれほど高くありません。また、フランスではテレワークを導入している企業のほとんどは週1~2回であり毎日ではありません。スペインも6.7%と低い数字になっています。欧州では北欧のテレワーク率が高く、東欧や南欧は低い傾向にありますが、平均すると常時在宅型は3%、頻繁なモバイル型は5%、ときどきテレワークをするのは10%となっています。
日本におけるテレワーク推進の大きな目的は、少子高齢化による生産年齢人口の減少を食い止めることで、政府は2020年のテレワーク導入企業を2012年の3倍にすることを目標としています。
日本で週に8時間以上、本来の職場以外の場所で仕事をするテレワーカーは、就業人口の17%にあたる約1,100万人(2015年)でした。また、テレワーク制度を導入している企業は16.2%(2015年)ですが、大手企業では導入が進んでいる一方で、中小企業では導入に抵抗があるためか進んでいないのが現状です。また、労働者側も、テレワークをすることで仕事をする時間が増えてしまうのではないかと懸念しています。
国土交通省の「平成28年度テレワーク人口実態調査」によると、テレワークという働き方を知らなかったと回答した人が約半数の46.7%にのぼります。テレワークが必ずしも自宅で働くことだけを意味していないことや、テレワークのメリットを政府だけでなく企業からも発信する必要がありそうです。ますます進化を続けるモバイル機器やWeb会議システムなどのツールは、テレワークの普及に大きく寄与するといっても過言ではありません。企業はテレワーク普及のために試行錯誤を重ねる段階にあるのではないでしょうか。
テレワークは、業種や職種によっては適用しにくい場合があるでしょう。しかし、仕事とチームワークの関係も考慮し、週に1日または月に1日でも部分的な導入を始めて、効果を測ってみてはいかがでしょうか。