トップ > 働き方改革を成功に導く次世代Web会議のススメ > ワーク・ライフ・バランスだけではない、働き方改革のメリット
「働き方改革」が国全体で注目されて取り組まれるようになってきましたが、残業時間の削減を中心としたワーク・ライフ・バランスがクローズアップされている傾向があります。しかし、働き方改革の目的は残業を減らすことだけではありません。そこで今回は、働き方改革はどうあるべきなのか、そして企業にどのようなメリットがあるのかをご紹介します。
1.なぜ働き方改革が必要なのか
2.働き方改革のメリットとは
3.働き方改革のために企業ができること
4.働き方改革で企業の競争力を強化
働き方改革は、2016年8月の第3次安倍第2次改造内閣の発足時に提唱されました。政府が日本の働き方改革を推進する大きな理由としては、少子高齢化による労働力不足の深刻化と、それによる国力の衰退への危機感が挙げられます。労働力不足を是正するためには、短中期的には女性や高齢者の活用で労働者層を増やすこと、そして中長期的には出生率を上げて人口減少を食い止めることが必要ですが、それには女性や高齢者だけではなく、誰にとっても働きやすい環境を整えることが重要です。
また、日本では労働力不足以外に、生産性の低下も問題となっています。公益財団法人日本生産性本部の「労働生産性の国際比較2016年版」によると、日本の時間あたりの労働生産性は42.1ドルでOECD加盟35カ国のなかで20位でした。この数字はトップのルクセンブルク(95ドル)の半分以下で、のんびり働くことで有名な南欧のイタリア(51.9ドル)やスペイン(51.2ドル)よりも低いものです。労働時間が長いといわれる日本の働き方は、効率が悪いということが明らかになっています。
政府が推進する働き方改革では、上記の状況を改善するために、長時間労働の是正やテレワークをはじめとした柔軟な働き方の推進、外国人労働者の受け入れ、子育てや介護との両立など9つのテーマが挙げられています。これらを実現することで、国レベルでの労働力不足や生産性低下の問題の改善が期待されていますが、企業レベルでも競争力強化につながるさまざまなメリットが考えられます。
例えば、最近は働き方改革を推進している企業が注目されているため、それをアピールすることで優秀な人材が集まりやすくなる可能性があります。そして、社員のモチベーションが向上し、人材が定着するようになるでしょう。人材が定着せず退職が増えると、採用コストや教育コストが増加するだけでなく、取引先からの信用低下にもつながりかねません。企業にとって人材の確保は、いまや最重要視すべき問題といえます。
また、残業を減らしつつ仕事の効率化ができれば、同じ売り上げでも最終利益の改善が見込めます。さらにその利益を、売り上げ向上を目指すための資源に充てることもできます。
各社の事例としては、ITサービスのSCSKが「どこでもWORK」と銘打ったリモートワークを導入し、働き方改革への取り組みを強化しています。日立製作所は「日立ワーク・ライフ・イノベーション」運動を全社で展開して、社員の意識改革から始めています。サントリーでは2017年を「働き方ナカミ改革元年」と位置づけ、労働時間の短縮だけでなく、テレビ会議の活用をはじめとした働き方の中身に踏み込んだ改革を推進しています。
製造業やサービス業の現場を除けば、オフィスでは1人1台のPCを使って仕事をし、外まわりの営業担当者はモバイル端末を活用して業務をしています。そして、各自のPCはお互いにネットワーク接続されてファイルも共有され、メールはモバイル端末からでも確認できる業務環境はもはや当たり前となっています。違うフロアの社員とチャットで即時にコミュニケーションをとることができ、海外を含む遠隔地の支店や客先とWeb会議システムを用いてミーティングをする企業も増えています。
ネットワーク環境とICTの進化によって、オフィスに社員全員が集まって仕事をしなければならない理由がだんだん薄れています。企業にとって、テレワークの導入は残業の廃止よりもハードルが低いかもしれません。
企業が働き方改革について明確な指針を打ち出すことは大切ですが、ワーク・ライフ・バランスに対する考え方は個々の社員によって異なります。実際の取り組みは社員の意見を取り入れながら進め、中身のある改革をすることが必要です。
働き方を改革することで生まれるメリットは、企業の競争力強化につながります。働き方は企業や社員によって変わってくるため、同じやり方がすべてのケースで効果的だとは限りませんが、まずは企業として働き方を改革するという意思を明確に社員に伝え、できるところから進めることが社員のモチベーション向上につながるでしょう。